【高校野球】早実×駒苫(2)

昨日は意地と意地のぶつかり合いだった。
今日は力と力のぶつかり合いだった。
どちらも涙が出そうになる、劇的な試合だった。
 
駒大苫小牧が先発に菊池を持ってきたのも仕方ないことだろう。田中は昨日あれだけの投球をしたのだから。
結果菊池から点を奪い田中をひきずり出した早実。昨日もやりたかったことを今日はしっかりと行った。この時点で試合は総実ペースとなった。
しかし早実にも不安要素があった。昨日15回のマウンドを守りきったエース斎藤の疲労である。初の4連投、ましてや昨日は178球も投げていた。
だが、エースはこの日もしっかりとマウンドを支えた。コーナーを突いた丁寧なピッチングとそれを支えるコントロールが崩れることはなかった。
その斎藤が6回ついに捉えられる。1番三谷がバックスクリーンに突き刺さるソロホームランを放つ。
しかし斎藤は今日もすぐに立ち直る。後続をファウルフライ、セカンドゴロに打ち取り2アウト。4番本間を空振りの三振に切って見せた。
その裏、打線が斎藤の力投に応える。8番キャッチャーの白川がレフトフェンス直撃のツーベース。フォアボールで出たランナーを見事に返し、貴重な追加点を挙げた。7回にも1点追加、試合を決定付けた。
ここまでなら「斎藤の完璧なピッチングが全てを支配した」試合で終わっていただろう。しかしここから見せた駒大苫小牧の粘りが、この試合をより深いものとした。
9回表、ノーアウト1塁。3番中沢が、斎藤の甘く入ったスライダーを見逃さなかった。バックスクリーン左へ飛び込む2ランホームラン。その差1点、なおもノーアウト、次は4番本間。今年の甲子園を印象づけた逆転劇。それを引き起こす魔物がこの決勝の舞台にもいるのか。誰もがそう思う、ドラマチックな展開の幕開けである。
ここまでチームを引っ張り続けた、早実のエース斎藤。
ここまでチームを引っ張ってきた、駒大苫小牧のクリーンアップ。
 
勝ったのは、斎藤だった。
4番本間を空振りで三球三振、5番岡川をセカンドゴロ。
最後のバッターは、奇しくも駒苫のエース田中だった。
カウント2-0と追い込んだ斎藤。
そこから何度もファウルで粘る田中。
斎藤の147キロのストレートをカットさせたのは、勝利への失念か。
カウント2-1。
最後は斎藤渾身のストレートに、田中のバットが空を切った。
 
 
昨日の初回から最後の最後まで、見逃せない試合になった。
斎藤、田中両エース意地の投げ合い。
ピンチになっても動揺しない強心臓。そして無尽蔵のスタミナ。
ポーカーフェイスと感情むき出しのピッチング。
その結果がもたらした今日の再試合。
それでも崩れない斎藤。
それでも投げきった田中。
二人を支えたナインたち。
勝敗がついてしまったが、俺は両校に最大級の賛辞を送りたい。
感動をありがとう。
 
初めて見せた斎藤の涙に、もらい泣きしそうになった。
スポーツ見てなきそうになるって、すごいことですよ。
普段感動することが少ない俺が感動したんだから、すごいことです。
ほんと、いい試合をありがとう。
 
p.s.
斎藤はこのまま先発タイプで活躍できそう。
ただ甘い球は打たれると飛ぶ。
良くて上原、悪くて川村かな。
田中は先発もできるけど、フォームさえしっかりして安定感が出れば抑えが向きそう。斎藤隆みたいな感じになってくれるといいな。
 
たとえが横浜の選手ばかりなのは、俺の知識が偏ってるせいです。ええ。